the car or the goat, that is the question

というわけで、昨日の続きである。記法等も昨日のものに従う。今日の目的は、時系列を考えずに、等確率で実現される事象を表わす順序対として状況を記述し、昨日と同様の結果を導くことである。
まず、順序対 \langle a s \rangleA=aS=s の略記とする。また、標本 a の確率測度を P(\{a\}) と書く。P(\{a\})\neq 0 なる標本*1を列挙すると:
\mu_1=\langle k y_1 \rangle
\mu_2=\langle k y_2 \rangle
\mu_3=\langle y_1 y_2 \rangle
\mu_4=\langle y_2 y_1 \rangle
問題は、P(\{\mu_i\}) が一般には互いに等しくないということである。
では、確率測度はそれぞれいくらなのであろうか? 重要なのは \mu_3,\mu_4 である。例として、\mu_3 を考えよう。S=y_2 しか起こり得ないが、事情が \mu_1 等の場合とは違う。S=y_i は前提であるが、時系列を考えなければ i=1,2 が考えられる。しかし、可能なのは S=y_2 のみである。司会者の立場で考えれば、\mu_1,\mu_2\mu_3 とは、以下のように違う:

\mu_1,\mu_2
S=y_1,y_2 が等確率で実現し得る。それぞれが \mu_1,\mu_2 に対応する。
\mu_3
司会者は S=y_1,y_2 を等確率で実現しようとし得る。しかし、A=y_1 であるので、S=y_1 を実現しようとした司会者は S=y_2 に鞍替えしなければならない。これを S=y'_2 と書こう。S=y'_2,y_2 は等確率で実現し得、その和が \mu_3 にあたる。

すなわち、\mu_3,\mu_4 は実は \mu_1 を基準とすれば、2つの標本をまとめたもので、
\mu'_3=\langle y_1 y'_2 \rangle

\mu'_4=\langle y_2 y'_1 \rangle
とを考えねばならない。これで、各標本の確率測度は等しくなる。
\mu_i,\mu'_i を見れば分かるように、「あなた」は選択を変えた方が F=k となる確率は高い。
……あやしい。結局、一番簡単なのは、昨日の「簡単に」で説明した手法であろう。

*1:本当は全部書きたいが、繁雑になるので仕方がない