私は何故、繋がりを大切にするのか

私は、blog を始めて1週間後に、何故「はてなダイアリー」を選んだのかを書いた。重複するが、必要な部分だけ引用しておこう。

ネットの価値は繋がるところにある。繋がらない情報などに存在価値は無いのだ。情報化社会の申し子たる私が、ここまでネットを重要視する理由は簡単である。「攻殻機動隊」の世界はすぐそこまで来ているのである。あとは各人の意識次第なのである。「はてな」はその「はてなキーワード」の存在を非常に面白いと感じる。まさに繋がっているのである。

(選挙の日 - wiredBeep - gblogより) 「はてなキーワード」は「はてなダイアリーキーワード」の間違いである。
繋がることはどこまで重要なのだろうか? インターネットが発達した今、何かを調べるのは、一昔前に比べて恐ろしく簡単になっている。たとえ玉石混交であったとしても。つまり、自分は書きたいこと (や表現したいこと etc.) だけを書き、後は「勝手に GoogleWikipedia で調べろ」というのも、一つのスタンスとして成立ちうる。読者にメディアリテラシーを要求することは妥当である。では、何故私はそのスタンスをとらないのか。何故私は、「本当にすぐに分かること」*1以外は、執拗なまでに、「はてなダイアリーキーワード」を利用*2し、外部 (Wikipedia を含む) にリンクを張るのか*3。また、gblog だけではなく、Factory #23 本体でも、大量のブックマーク集を私は重要視している。何故私は繋がろうとするのか。
インターネットは*4世界最大のデータベースである。一つのネットワーク型データベースなのだ。しかし、インターネットはただのデータベースではない。読者の方々が今この瞬間にも入り込んでいる、インターネットによって形成される「空間」*5。これは既に一つの世界なのだ。このネット世界を『serial experiments lain』に習って「ワイヤード」(wired) と呼ぼう。人間は現実世界 (「リアルワールド」) とワイヤードとを自在に行き来して生活している。既にそうなのだ。電車の中を見てみると良い。いかに多くの人が、携帯端末を通じて、リアルワールドとワイヤードとの狭間に立っているか分かる。ワイヤードは面白い世界である。それを形作っているのは「繋がり」であり、非常に流動的で変化が激しい。そして、ワイヤードは一つの世界であるとともに、人間の一部でもある。人間は、世界をまたにかける感覚器官と運動器官とを得たのだ。
1999年に始まる一連のスケールフリーネットワークの研究により、ワイヤードの性質は解明されつつあるが、まだまだというのが私の調べた範囲内での感想だ。しかし、これは言える。ワイヤードの根幹にあるのは、ローカルなプロセスである。つまり、あるペイジがあるペイジをリンクし、またはアンリンクし、あるペイジが書き換わり、または追加され、または削除される。何の統制もないこの世界だが、これらのローカルなプロセスがネットワークを、そしてワイヤードを自己組織化させるのだ。
私は思う。確かに、Google さえ参照すれば、Wikipedia さえめくれば、知りたいことは分かるかも知れない。しかし、それはパソコン通信時代の一極集中型ネットワークへの回帰でしかない。更に言えば、「図書館に行け」「百科事典を調べろ」の時代への退行ですらある。ワイヤードワイヤードたる所以は、その世界がローカルに繋がっていることだと思う。これでこそ、本当に有益な、面白い情報が手に入る。世界最大ではない、「世界最高」のネットワークとなりえるのだと、そう思う。そのためには、インターネット上の各ペイジ、各文書が「包括的」*6にリンクを行う、すなわち繋がることが重要なのだ。参考にしたペイジ、話題を発展させる可能性をもったペイジ、読者が更なる知識を見付けられるペイジ、それらとのローカルな繋がりこそが、ワイヤードを豊かな世界にする。私はそう思う。
最後になったが、この議論をするにあたり、有用なアンチテーゼを提供してくれた、ワイヤードで活躍している友人A氏への感謝を記す。

追記

はてな」と「Yahoo! BLOGS」の文化の違いについて、面白い考察:http://d.hatena.ne.jp/webmugi/20051214/p1

*1:Google で最初にヒットするペイジを見れば良いような物ごと

*2:キーワードに上手くリンクが張られるように、使用する単語には気を付けている

*3:それでも足りない場合は注釈を付ける。私が「第一情報発信者」となるわけである

*4:基本的に WWW を考えているが、その他の部分も大量のアーカイブとして WWW 遺産となる。プライベートなコミュニケーションスペースを除いて、現在は WWW ≒ The Internet と言って良いのではないかと考える

*5:空間という言葉が最適とは思えない。しかし、私は他の言葉を思い付けないでいる

*6:これも良い言葉ではない。comprehensive と言った方がニュアンスが近い