アリバイ、追記

アリバイの語源について、可能な範囲内で詳察。
まず、日本語「アリバイ」は、その発音から当前英語から来ているはず。しかし、英語の alibi (発音:アリバイ) はラテン語からそのまま取っている。
ラテン語 alibi について。発音は「アリビー」(「ア」にアクセント)。つまり、最後の i が長音。意味としては、「他の所で;他の点で;現場不在証明」。「現場不在証明」の意味が古典ラテン語でも使用されていたかは著しく怪しいが。辞書によって書き方がだいぶ違うものの、alius ibi の省略と考えて良さそう。
alius について。これは不定代名(形容)詞 alius / alia / aliud の男性単数主格。発音は「アリウス」(「ア」にアクセント)。「他の」の意味。この単語の面白いところは。その属格にある。文法上は alius (男性) / alia (女性) / aliud (中性) 共に属格は alius (発音は「アリーウス」。「リー」にアクセント。つまり、i が長音) である。しかし、綴りが男性単数主格と全く同じなのは、古代ローマ人にも分かりにくかったらしく、通常は後述の alterius を代わりに使っていた。複数形主格は alii (「アリイー」。「ア」にアクセント。つまり、最後の i が長音)。al- がそもそも「他」をあらわすようで、語源と言えるものがあるかどうか不明だが *1、例えば、古代ギリシア語の 'αλλοσ*2 (アクセントは α) が「他の」の意味を持つ。
alius 属格の alterius について。これは alter (「アルテル」。「ア」にアクセント。「もう一方の」の意) の属格 alterius (「アルテリーウス」。「リー」にアクセント。つまり、i が長音 *3 ) である。
ibi について。発音は「イビ」もしくは「イビー」。つまり、最後の i は長短両方ある。副詞で、意味は「そこに」、または「○○の所に」。
以上が、3冊の辞書を突き合わせて出した結論。間違っていた場合は申し訳ない。

問題点

ibi の「○○の所に」において、「○○」の格はどうなるのだろう? 純粋に勉強不足で申し訳ないが、分からない。alius が来ているということは、主格で良いのだろうか? しかし、慣用表現という可能性もある。*4 更なる調査が望まれるが…教えて、偉い人!

*1:サンスクリットまで辿る気はない

*2:最後のσは文字の形が違うが、フォントが無いのでこれで許して頂きたい

*3:厳密には、verse により、発音はいろいろあったようだ

*4:属格の可能性もなきにしもあらず。どこかで位格/地格 (locativus) が来るという話を読んだ記憶もあるが、原典が見つからないので、信じないで頂きたい