『ディアスポラ』

昨日の議論を図を使ってわかりやすく。グレッグ・イーガンディアスポラ』について、ほんの少しネタバレ?
公式サイトの該当ペイジよりも問題設定を簡単にする。

このような時空図を考える。K(x,t)に固定されたワームホールの口が赤線。K'(x',t')に固定されたワームホールの口が青線。小さな赤と青の矢印は、どちらから粒子が入ってくる/出てくるかである。A'とBは、ほぼ同じ(厳密にはBが少し時間的未来)世界点を共有していると考える。ここで、Aから粒子を飛びこませると、緑(?)色のルートにしたがってA'から出てきて、Bに飛びこめる。Bに飛びこんだ粒子はオレンジ色の線に従って飛び、Aに対して、時間的過去に到着する。親殺しのパラドックスの成立である。
ディアスポラ』では仮想粒子がワームホールの崩壊を招くとしていたため、私は最初、以下のようなファインマン(?)ダイアグラムを考えた。

しかし、これは、以下のような真空のダイアグラムと本質的に等価である。

ただ、反粒子となっている部分が、ワームホールによるタイムワープに置き換わっているだけで。(波線の部分が必要かどうか知らないのだが、念の為に描いておいた) これでブラックホールが誕生してはたまらない。粒子は1つしかないのだから。
しかし、以下のようなダイアグラムを考えると事情は変わってくる。

最初に、外部から仮想粒子が入ってくるのである。一周した仮想粒子は、自分自身と反応できないかぎり、二周目に入る。(仮想粒子である限り、かならず二周目に入る粒子は存在する…はず) 結局、ワームホール内には無限個の仮想粒子が連なり、質量無限大となって、ブラックホールを作る。
ここまで来ると私の知識ではちょっと追い付けないのだが、ともかく、こうではないか、というのがO先輩との議論の結論。
itaさんのblogにリンクを張っておく:http://d.hatena.ne.jp/ita/00020108/p1