アニメ版『最終兵器彼女』総括

以下、ネタバレを含みます。本作を未見の方は、読まれないことをお勧めいたします。
アニメ単体としては、思いのほか作画もよく、最初は違和感のあった声優陣も、途中からは完全に慣れることが出来たので、出来は非常にいいと思う。オープニング、エンディングも映像、音楽、演出ともに近年稀に見るクオリティーを見せてくれた。これらの点では、私は本作をとても評価している。
本作を評価する際に、あらかじめ、最も重視しようしていた点は、形而上学的になってゆく(兵器としての)ちせを、どのように動画として描くか、である。その点において、ラストシーンを除き、本作を及第点とすることは、残念ながら出来ない。典型的なシーンは、最後にちせが「ちせの町」を守ろうとするところである。完全に抽象的存在となる直前のちせが、あの、若干宮崎駿氏的なデザインの機械として描かれるのは、明らかに違うと思う。原作における「光の柱」をそのまま持ってきたほうがずっと良かったのは間違いない。
もし、オープニング・エンディングのみを収録したDVDが2000円程度で発売されたら、きっと買うだろうとは思う。